建設業の配置技術者 | 主任技術者・監理技術者について

建設業における配置技術者は、工事の品質確保と適正な施工管理を担保するための重要な役割を担っています。最新情報に基づき、配置技術者に関する制度と実務上の留意点を解説します。

目次

配置技術者とは

建設業許可業者は、建設業法の目的を達成するために様々な制約や義務が課せられています。そのうちの1つに、工事現場への技術者の配置義務があります。建設業許可業者は、請け負った建設工事を施工する現場に、当該工事について一定の資格を有する者として、主任技術者または監理技術者を配置しなければなりません。(=配置技術者)

※ 技術者の配置は、工事現場への常駐(現場施工の稼働中、常時継続的に当該工事現場に滞在していること)を意味するものではありません。

主任技術者とは

(定義)
建設業法第二条 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。
2 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。
3 この法律において「建設業者」とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう。

(主任技術者及び監理技術者の設置等)
建設業法第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。

このように、建設業許可を受けた者が建設工事を施工する場合には、この工事現場における施工の技術上の管理をつかさどる者として、主任技術者を配置しなければなりません。元請、下請、請負金額にかかわらず、配置が必要です。

監理技術者とは

(主任技術者及び監理技術者の設置等)
建設業法第二十六条
2 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。

配置技術者には主任技術者と監理技術者の2種類があります。発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負金額の合計(下請総額)が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる場合には、特定建設業の許可が必要となるとともに、主任技術者に代えて所定の資格を有する監理技術者を配置しなければなりません。

元請や上位下請が他にいる工事の場合は、請負金額が5,000万円以上(建築一式の場合は8,000万円以上)になったとしても、特定建設業許可の取得も監理技術者も不要です。

監理技術者は特定建設業の工事現場において、施工の技術上の管理をつかさどる重要な役割を担います。一方、前述の主任技術者は、一般建設業の工事現場での技術管理を行う技術者です。

主任技術者を配置しなくても良いケース

第二十六条の三
特定専門工事の元請負人及び下請負人(建設業者である下請負人に限る。以下この条において同じ。)は、その合意により、当該元請負人が当該特定専門工事につき第二十六条第一項の規定により置かなければならない主任技術者が、その行うべき次条第一項に規定する職務と併せて、当該下請負人がその下請負に係る建設工事につき第二十六条第一項の規定により置かなければならないこととされる主任技術者の行うべき次条第一項に規定する職務を行うこととすることができる。この場合において、当該下請負人は、第二十六条第一項の規定にかかわらず、その下請負に係る建設工事につき主任技術者を置くことを要しない。

元請人と下請負人が合意している場合には、専門工事のうち施工技術が画一的である等として政令で定める「特定専門工事」(※1)については、元請人の主任技術者(※2)は、下請負人の主任技術者が行うべき施工管理を併せて行うことができます。

(※1)…下請代金の合計額が4,500 万円未満の鉄筋工事及びとび・土工・コンクリート工事のうち、コンクリートの打設に用いる型枠の組立てに関する工事です。ただし、元請負人が発注者から直接請け負つた建設工事であつて、当該元請負人がこれを施工するために締結した下請契約の請負代金の額が5,000万円以上(建築一式の場合は8,000万円以上)となる場合を除きます。
(※2)…その工種の指導監督的実務経験を1年以上有する者で、工事現場に専任している者に限ります。

主任技術者・監理技術者になるための要件

資格要件

監理技術者と主任技術者になるための資格要件
・主任技術者 一般建設業の営業所技術者と同様
・監理技術者 特定建設業の特定営業所技術者と同様(※監理技術者資格者証・監理技術者講習が必要)

雇用関係

建設工事の適正な施工を確保するため、主任技術者又は監理技術者については、工事を請け負った企業との直接的かつ恒常的な雇用関係が必要とされています。

直接的な雇用関係や恒常的な雇用関係の考え方の詳細については、監理技術者制度運用マニュアルの9ページをご参照ください。

このような雇用関係は、資格者証の写し、市区町村が作成する住民税特別徴収税額通知書の写し、健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し、所属会社の雇用証明書の写し又はこれらに準ずる資料によって建設業者との雇用関係が確認できることが必要です。

まとめ

本稿では、配置技術者には主任技術者と監理技術者の2種類があり、工事の規模や特定建設業の要否により配置要件が異なること、必要な資格要件や雇用関係について解説させていただきました。

当事務所では、広島市を拠点として、建設業許可に関する各種手続きのサポートを行っております。建設業許可や建設業法に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

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