
この記事では、建設業許可の要件(概要)について解説いたします。
どのような場合に建設業許可が必要となるのか?

建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。
ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。ここでいう「軽微な建設工事」とは、次の建設工事をいいます。(いずれの場合も、取引に係る消費税及び地方消費税の額を含みます。)
工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
※木造:建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
※住宅:住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
※上記金額には取引に係る消費税及び地方消費税の額を含みます。
工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
※木造:建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
※住宅:住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
建設業許可の要件
建設業の許可を受けるためには、次の6つの要件をすべてクリアしていることが必要です。
・経営業務の管理を適正に行うに足りる能力
・適切な社会保険等に加入していること
・営業所技術者等
・誠実性
・財産的基礎等
・欠格要件等
要件1 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力
法人の場合は役員のうち常勤である人が、個人事業主の場合は事業主または支配人が、次のいずれかに該当する必要があります。(常勤役員等の設置)
①建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験がある人
②建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験がある人。(経営業務を執行する権限の委任を受けた人のみ。)
③建設業に関し、6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として、経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験がある人。
④常勤役員等のうち1人が次のいずれかに該当する人で、かつ、財務管理の業務経験がある人、労務管理の業務経験がある人及び業務運営の業務経験がある人を、直接に補佐する者としてそれぞれ置くこと。
・建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験がある人。(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)
・5年以上役員等としての経験があり、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験がある人。
要件2 適切な社会保険等に加入していること
令和2年10月1日以降、適切な社会保険・雇用保険へ加入することが許可要件となっています。
・健康保険
・厚生年金保険
・雇用保険
要件3 営業所技術者等
建設工事の適切な施工を確保するために、営業を行う営業所にその工事の専門の技術者を設置する必要があります。一般建設業許可と特定建設業許可で要件が異なります。
一般建設業許可の場合
①一定の国家資格等を持っている人。
②許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、一定期間以上の実務経験がある人。
・大学又は高等専門学校の指定学科卒業後、3年以上の実務経験がある人。
・専門学校の指定学科を卒業した後、3年以上の実務経験がある人で、専門士又は高度専門士の人。
・高等学校、専門学校又は中等教育学校の指定学科を卒業後、5年以上の実務経験がある人。
・10年以上の実務経験がある人。
・複数業種について、一定期間以上の実務経験がある人。
・旧実業学校卒業程度検定規程による検定で、指定学科合格後5年以上、又は専門学校卒業程度検定規程による検定で、指定学科合格後3年以上の実務経験がある人。
③その他
・海外での工事実務経験がある人で、当該経験の内容について国土交通大臣の個別審査を受け、その認定を受けた人。
要件4 誠実性
当該法人、その役員等、個人事業主、支配人、支店長、営業所長が、請負契約に関し、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者ではないことが必要です。
要件5 財産的基礎等
請負契約を履行するに足る財産的基礎又は、金銭的信用を有していることが必要で、次のいずれかに該当することが必要です。一般建設業許可と特定建設業許可で要件が異なります。
一般建設業許可の場合
①自己資本の額が500 万円以上あること。
②500 万円以上の資金を調達する能力があること。
③許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績があること。
要件6 欠格要件等
許可を受けようとする人が以下に該当する場合、許可を受けることができません。
① 許可申請書又はその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載がある又は重要な事実の記載が欠けている場合
② 以下のいずれかの事項に該当する場合(役員等、支配人又は営業所の長に該当者がある場合を含む)
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・不正の手段により許可を受けたこと、または営業停止処分に違反したこと等によりその許可を取消されて取り消されて5年を経過しない者
・許可の取消処分を免れるために廃業の届出を行い、その届出の日から5年を経過しない者
・許可の取消処分を免れるための廃業の届出を行った事業者について、許可の取消処分に係る聴聞の通知の前60日以内に当該法人の役員等または個人の使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者
・営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者(更新の場合は適用しない)
・営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
・禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・建設業法、または一定の法令の規定に違反して罰金の刑に処され、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
・心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの(精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者)
・営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記のいずれかに該当する者
・暴力団員等がその事業活動を支配する者
まとめ

以上、建設業許可の要件(概要)について解説させていただきました。最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。
当事務所では、広島市を拠点として、建設業許可に関する各種手続きのサポートを行っております。建設業許可や建設業法に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。
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