「広島県」建設業許可申請に必要な公的証明書の完全ガイド

新規で建設業許可申請をする場合には、「登記されていないことの証明書」「身分証明書」「納税証明書」「登記事項証明書」といった公的証明書を添付して申請する必要があります。これらの証明書は申請者の適格性を証明し、欠格要件に該当しないことを示す重要な役割を果たします。

しかし、取得方法、有効期限や提出対象者が異なるため、正確に書類を揃えて申請しないと、申請が遅延したりする恐れがあります。本記事では、広島県での建設業許可申請に必要な各証明書の概要から取得方法、申請時の注意点まで詳しく解説します。

目次

登記されていないことの証明書

建設業許可を申請する際には、様々な公的証明書の提出が求められます。その中でも「登記されていないことの証明書」は重要な書類の一つです。

登記されていないことの証明書とは

登記されていないことの証明書とは、申請者が成年被後見人または被保佐人として登記されていないことを証明する公的書類です。この証明書は法務局が発行し、民法上の制限行為能力者に該当しないことを証明します。

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方を法律的に保護するための制度です。この制度により、成年被後見人や被保佐人として登記された場合、一定の法律行為に制限が課されることになります。

登記されていないことの証明書では、具体的に「成年被後見人として登記されていないこと」「被保佐人として登記されていないこと」の2点が証明されます。これにより、申請者が完全な行為能力を有していることが確認できます。

建設業許可申請における必要性

建設業許可申請において、登記されていないことの証明書は欠格要件に該当しないことを証明するために必要です。建設業法第8条では、成年被後見人や被保佐人などは建設業の許可を受けることができないと定められています。

この証明書の提出が必要な対象者は、個人事業主の場合は申請者本人、法人の場合は役員全員(取締役、執行役、監査役等)となります。また、支配人を置いている場合は支配人も対象となります。

建設業許可申請では、申請者の適格性を判断する上で、この証明書が重要な役割を果たします。欠格要件に該当しないことを証明することで、許可取得の基本的な条件を満たすことができます。

取得方法

登記されていないことの証明書は、全国の法務局・地方法務局の本局で取得できます。取得方法は窓口申請と郵送申請の2種類があります。

窓口申請の場合、必要書類は以下の通りです:

  • 証明書交付申請書
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 手数料300円分の収入印紙

郵送申請の場合は、上記に加えて返信用封筒(切手貼付)が必要です。また、本人以外が申請する場合は委任状も必要となります。

申請書には、証明を受ける人の氏名、生年月日、住所などを正確に記入します。

申請時の注意点

登記されていないことの証明書を申請する際には、いくつかの注意点があります。まず、証明書の申請時には「成年被後見人に該当しない旨の証明」と「被保佐人に該当しない旨の証明」の両方を選択することが重要です。片方だけでは不十分となります。

また、注意すべき点として、法務局の支局や出張所では発行できない場合があります。広島県内は、広島県で登記されていないことの証明書を取得するには、広島法務局民事行政部戸籍課(広島市中区、広島合同庁舎3号館3階)の窓口で手続きを行う必要があります3。広島県内の法務局の各支局や出張所では取り扱っていないため注意が必要です。

窓口での申請方法:

  • 受付時間: 平日(土日祝日を除く)の午前9時00分から午後5時00分まで
  • 待ち時間: 約10分程度
  • 問い合わせ電話番号: 082-228-5765(戸籍課)

支局しかない地域の場合は、広島の本局の窓口に行くか、東京法務局へ郵送請求することになります1

身分証明書

建設業許可申請において、身分証明書も欠かせない重要書類の一つです。

身分証明書の概要

身分証明書とは、建設業許可申請において提出が求められる公的証明書の一つで、本籍地の市区町村が発行する証明書です。一般的に身分証明書というと運転免許証やマイナンバーカードのことだと思いがちですが、建設業許可申請で必要な身分証明書はこれらとは異なります。

この身分証明書には、申請者が成年被後見人や被保佐人でないこと、破産者で復権を得ていない者でないことが記載されています。つまり、申請者が建設業を営むにあたって法律上の制限を受けていないことを証明する書類です。

身分証明書が必要な理由

建設業許可申請において身分証明書が必要とされる理由は、建設業法第7条第1号および第8条第1号に定められている欠格要件に関連しています。これらの条項では、成年被後見人、被保佐人、または破産者で復権を得ていない者は建設業の許可を受けることができないと規定されています。

身分証明書は、申請者がこれらの欠格事由に該当しないことを証明するための書類です。建設業は社会的責任の大きい業種であるため、経営者の適格性を確認する目的があります。

身分証明書の入手方法

身分証明書は本籍地のある市区町村役場で取得することができます。取得方法は以下の通りです。

  1. 本籍地の市区町村役場の戸籍担当窓口に行く
  2. 身分証明書発行申請書に必要事項を記入
  3. 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)を提示
  4. 手数料を支払う(自治体によって異なるが、概ね300円〜500円程度)

多くの自治体では郵送での取得も可能ですが、その場合は返信用封筒や本人確認書類のコピーなどが必要となります。また、身分証明書を請求できるのは以下の方々です。

  • 証明が必要な本人
  • 本人の配偶者及び父母・祖父母・子・孫(委任状不要)
  • その他の代理人(本人が作成した委任状が必要)

広島市に本籍がある場合の取得方法

広島市に本籍がある方は、以下の窓口で身分証明書を請求できます。

  • 各区役所市民課
  • 出張所
  • 連絡所
  • 市役所サービスコーナー

手数料は1通300円です。

郵送での取得方法

身分証明書は郵送でも請求可能です。広島市の場合、以下のものを送付します。

  1. 請求内容と請求者の住所・氏名と日中の連絡先電話番号を書いたもの
  2. 手数料分の定額小為替(1通300円)
  3. 切手を貼った返信用封筒(氏名・住所記入済み)
  4. 本人確認書類(運転免許証、旅券、健康保険証など)の写し

送付先:
〒732-0055
広島市東区東蟹屋町9番38号
広島市戸籍・住民票事務センター

提出が必要な対象者

建設業許可申請において身分証明書の提出が必要な対象者は以下の通りです。

  1. 個人事業主の場合:申請者本人
  2. 法人の場合:
    • 代表取締役を含む全役員
    • 令第3条に規定する使用人(支店長など)

特に法人の場合、役員全員分の身分証明書が必要となるため、役員が多い場合は準備に時間がかかることがあります。また、役員の本籍地が全国各地に分散している場合は、それぞれの本籍地の市区町村から取得する必要があります。

納税証明書

建設業許可申請において、納税証明書も欠かせない重要書類です。申請者が税金を適正に納めていることを証明するもので、経営状況を判断する材料となります。本稿では、広島県知事許可申請に必要な納税証明書について詳しく解説します。

個人事業主と法人による違い

広島県知事許可の申請では、事業形態によって必要な納税証明書が異なります。個人事業主として知事許可を申請する場合は、個人事業税の納税証明書が必要です。法人として申請する場合は、法人事業税の納税証明書が必要となります。

  • 申請者が個人事業主の場合 ・・・ 個人事業税
  • 申請者が法人の場合    ・・・ 法人事業税

取得窓口

広島県知事許可の場合、納税証明書は広島県内の県税事務所で取得します。広島県内には、広島県税事務所をはじめ、各地域に県税事務所が設置されています。

必要書類と手数料

納税証明書を取得する際には、以下の書類が必要です。

  • 納税証明書交付請求書
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 法人の場合は法人の印鑑(代表者印や社印)

手数料は、1税目につき400円かかります。

代理人が納税証明書を取得する場合は、上記の書類に加えて委任状が必要となります。委任状には、委任者(納税者)の住所・氏名・押印と、受任者(代理人)の住所・氏名を記載します。

広島県では、郵送による納税証明書の請求も可能です。納税証明書交付請求書、返信用封筒(切手貼付)、手数料(定額小為替)を同封して県税事務所に送付します。

対象期間

納税証明書は、直前1年の各事業年度における納付すべき額及び納付済額を証する納税証明書が必要です。法人の場合は直前の決算期、個人事業主の場合は前年分の納税証明書を提出します。

納税したばかりで納税証明書に反映されていない場合は、納税した証拠(領収書や振込受付書)を添付することで対応できる場合があります。事前に広島県の許可窓口に確認しておくことをお勧めします。

新設法人・決算未到来の場合の対応

広島県内で新設法人で決算期を迎えていない場合は、納税証明書の代わりに法人設立届出書の写しを提出することができます。この場合、税務署の受付印が押されたものが必要です。

また、新設法人や事業開始間もない個人事業主の場合、「課税実績なし」という内容の納税証明書を取得して提出することもできます。これは、まだ納税義務が発生していないことを証明するものです。

広島県の県税事務所一覧

広島県内の県税事務所では、法人事業税または個人事業税の納税証明書を取得することができます。主な県税事務所は以下の通りです。それぞれ管轄区域がありますのでご注意ください。

  • 広島県税事務所
  • 広島西県税事務所
  • 呉県税事務所
  • 東広島県税事務所
  • 尾道県税事務所
  • 福山県税事務所
  • 三次県税事務所

登記事項証明書

登記事項証明書は、法人が申請を行う場合に必ず必要となる重要な公的証明書です。

登記事項証明書の概要

登記事項証明書とは、法務局に登記されている会社の基本情報を証明する公的な書類です。会社の商号、本店所在地、資本金の額、役員構成などの情報が記載されており、会社の法的な実態を証明する役割を持っています。

建設業許可申請においては、申請者が法人である場合、その法人の実在性や基本的属性を確認するための必須書類として位置づけられています。建設業法第6条において、許可申請書には商号、資本金額、役員等の情報を記載することが求められており、これらの情報を証明するものとして登記事項証明書の提出が必要となります。

法的根拠としては、建設業法施行規則第2条において、許可申請書の添付書類として「登記事項証明書」が明記されています。この規定により、法人が建設業許可を申請する際には、必ず登記事項証明書の提出が求められています。

登記事項証明書には何種類かありますが、建設業許可申請で最も一般的に使用されるのは履歴事項全部証明書となっています。これは会社の沿革を含めた詳細情報を行政が確認する必要があるためです。

登記事項証明書の取得方法

登記事項証明書は、以下の方法で取得することができます。

法務局窓口で取得する場合には、最寄りの法務局・地方法務局またはその支局に直接出向き、申請書に必要事項を記入して窓口に提出します。会社の本店所在地を管轄する法務局であれば、より迅速に取得できます。窓口での申請の場合、通常その場で証明書を受け取ることができます。

オンラインで取得する場合には、法務局が提供する「登記ねっと」や「法務省の登記・供託オンライン申請システム」を利用する方法があります。また、「法人番号公表サイト」からも一部の情報を取得することが可能です。オンライン申請の場合、郵送での受け取りとなるため、数日程度の日数を要します。

取得にかかる費用は、証明書1通につき600円の収入印紙が必要です。複数通必要な場合は、その分の費用がかかります。取得にかかる時間は、窓口申請の場合は即日、オンライン申請の場合は申請から1週間程度を見込んでおくとよいでしょう。

建設業許可申請における注意点

建設業許可申請において登記事項証明書を提出する際の注意点は以下の通りです。

  • 商号(会社名)と本店所在地が現在のものと一致しているか
  • 資本金額が最新の状態で記載されているか
  • 役員構成が現在の状態と一致しているか
  • 事業目的に建設業が含まれているか

登記上の本店所在地と実際の所在地が異なる場合や、役員変更後に登記が更新されていない場合など、これらの不備がある場合は、まず登記内容を更新してから証明書を取得する必要があります。また、事業目的に建設業が含まれていない場合は、定款変更と登記変更を行う必要があります。

預金残高証明書・融資可能証明書

最後は、厳密には公的証明書ではありませんが、一般建設業許可の財産的基礎(金銭的信用)を有していることを証明するために必要な、金残高証明書・融資可能証明書について触れておきます。

【一般建設業許可の財産的基礎の要件】
① 自己資本の額が500万円以上であること。
個人事業主の場合の「自己資本」は、期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいいます。法人の場合の「自己資本」は、貸借対照表における純資産合計の額をいいます。

② 500万円以上の資金を調達する能力を有すること。
「500万円以上の資金を調達する能力」とは、担保とすべき不動産を有していること等により、500万円以上の資金について取引金融機関の残高証明書又は融資証明書等を得られることをいいます。

①の「自己資本」とは、次の額のことを意味しています。
・法人にあっては、貸借対照表の純資産合計の額。
・個人にあっては、貸借対照表の期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額。

決算書などで純資産が500万円未満だった場合でも、500万円以上の資金を手元に用意できることを証明して②をクリアすることができれば、財産的基礎の要件を満たしていることになります。

②の「資金を調達する能力」とは、担保とすべき不動産を有していること等により、金融機関等から借り入れる等調達する能力があるか否かで判断されます。

広島県では、新規申請等の際には、申請日前30 日以内の日時点(証明書の発行日ではありませんので注意が必要です。)(複数の残高証明書で証明する場合には、この基準日を揃える必要があります。)における取引金融機関発行の500 万円以上の預金残高証明書・融資可能証明書(いずれも申請者名義のもの)等の添付が必要となります。(ただし、上記の自己資本が500 万円以上ある場合には添付の必要はありません。)

残高証明書を取得した後で金額が500万円を下回ってしまっても、残高証明書の有効期限内であれば問題はありません。

残高証明書や融資可能証明書は各金融機関で入手することができます。金融機関により入手方法は異なりますので、金融機関の窓口で確認する必要があります。 融資可能証明書については発行してもらえない金融機関もありますのでご注意ください。また、預金通帳のコピーをこれらの証明書の代わりに使うことはできません。

まとめ

すべての証明書(預金残高証明書、融資可能証明書は除く)は申請日から3ヶ月以内に発行されたものが必要です。申請予定日から逆算して、適切なタイミングで取得することが重要です。特に郵送で取得する場合は、時間に余裕を持って手続きを進めましょう。

建設業許可申請は複雑な手続きであるため、不明点がある場合は行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家のサポートを受けることで、スムーズな申請手続きが可能となり、許可取得までの時間短縮にもつながります。

当事務所では、広島市を拠点として、建設業許可に関する各種手続きのサポートを行っております。建設業許可や建設業法に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

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